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life / research / technology / 2026-09-14
作成
秘書 あおい(判断)+ 調査エージェント 1 体(一次情報 45 件、18:55〜19:06 JST)
宛先
shika さん
件名
集酒の味の軸を「甘辛・淡濃・香り」の 3 軸(8 タイプ)または「+酸味」の 4 軸(16 タイプ)にする案の検討
前提
09-14 の味指標レポート(3 軸 5 段階+チップの推奨)の続き。マスタに日本酒度・酸度の列は無い
味の
軸

Taste axes — 8 types vs. 16 types

銘柄は 3 軸 8 タイプ、酸味はタグ、16 タイプは「飲み手の診断」に使う

SSI の 4 タイプ(薫酒・爽酒・醇酒・熟酒)は「香りの高低 × 味の濃淡」の 2 軸なので、shika さんの 3 軸案はそこに集酒がすでに持つ「甘辛」を足したものになる。これは筋が良い。一方、酸味を 4 本目の軸にして銘柄を 16 タイプに割るのは、151 銘柄を 16 のマスに撒くと 1 マス 9 本以下になり、しかも酸は甘辛の知覚そのものに混ざるので、境界でタイプが揺れる。16 の「マス」は銘柄ではなく飲み手の側に置くのが向く。

日本酒の味を 8 タイプや 16 タイプに分けている既存サービスは、調べた範囲では見つからなかった(「16 タイプ」で出てくるのはすべて飲み方・性格の診断)。業界共通の分け方は「日本酒度 × 酸度」の 4 象限(淡麗甘口/淡麗辛口/濃醇甘口/濃醇辛口)と SSI の 4 タイプの 2 つで、どちらも 2 軸 4 分類で止まっている。

2 軸 → 4
SSI: 香りの高低 × 味の濃淡(公式は「香りと味わいの組み合わせ」)
3 軸 → 8
shika 案 A: +甘辛。既存サービスに例なし
4 軸 → 16
shika 案 B: +酸味。151 銘柄なら 1 マス平均 9.4 本
−1.16 / +1.88
酸度が甘辛式・濃淡式に効く係数(1974 醸造試験所)
10 タイプ
さけのわが 2026-06 に始めた「飲み手の好み診断」

1. 先に結論

  1. 入力は 3 軸で止める。「甘い⇔辛い」「淡麗⇔濃醇」「香り穏やか⇔華やか」の 5 段階、どれも未入力可。酸味は 4 本目のスライダーにせず、「酸味を感じた」チップにする(09-14 の推奨と同じ)。理由: 酸は「辛い」と「濃い」の両方の知覚に入っている(§3)。独立した軸として 5 段階で聞くと、初心者は「辛口=酸っぱい」と答えて甘辛軸と二重に数える。チップなら「感じた人の割合」として別に集計でき、あとで軸に昇格させる判断もできる。
  2. 銘柄のタイプは 3 軸の平均から 8 タイプに割る。SSI の 4 象限に「甘/辛」を掛けた形で、名前は SSI の 4 語を土台にできる(§5 の表)。ただし「熟酒」だけは扱いを決める必要がある(熟成香は「華やか」とは別物。§3)。
  3. 16 タイプは飲み手の側に置く。星で重み付けした本人の好み(09-14 で決めた酒好プロフィール)を 4 軸の 2 値に落とすと、性格診断と同じ 4 文字コードの 16 タイプになる。2026-02 に「酒タイプ 16 診断」が SNS で流行し、さけのわも 2026-06 に「10 タイプ診断」を出した。共有カードのネタとしては 16 が効き、図鑑の分類としては 8 が壊れにくい、という分担。
  4. マスタに日本酒度・酸度を持たせるのは別の話として価値がある。1974 年の重回帰式で「甘辛度」「濃淡度」が客観値から出るので、ユーザーの入力が集まる前の初期表示に使える。ただし式は糖と酸の 2 成分しか見ておらず、香りは公的な数値指標が無い(§3)。客観値だけでは 3 軸目が埋まらない。

2. shika さんの案の整理

集酒の投稿画面には「甘口⇔辛口」「淡麗⇔濃醇」の 2 スライダーがある。ここに SAKETIMES の記事にある SSI の 4 タイプ(香りの高低 × 味の濃淡)を重ねると、次のように軸が増える。

案軸タイプ数1 タイプあたりの銘柄数(151 銘柄で均等なら)入力の手数(1 投稿)
SSI香り高低 × 味の濃淡437.8—(提供者が判定)
いまの集酒甘辛 × 淡濃(4 象限。業界共通の「淡麗辛口」など)37.82 本
案 A甘辛 × 淡濃 × 香り818.93 本
案 B甘辛 × 淡濃 × 香り × 酸味169.44 本

「均等なら」は現実には成り立たない。市場の日本酒は淡麗辛口と華やか甘口に偏るので、16 のマスのうち数マスは 0〜2 本になる。図鑑として「タイプごとに埋める」遊びにしたとき、空のマスは壊れて見える。これが 16 を銘柄に使わない実務上の理由。

3. 前提になる事実(一次情報)

3.1 SSI の 4 タイプは 2 軸

SSI 公式(ssi-w.com/4types)は「20,000 種類以上の日本酒のテイスティングを行うことにより、香りと味わいの組み合わせで、日本酒は大きく 4 つに分類できることを実証しました」とだけ書き、軸の図は画像で文字として取れなかった。SAKETIMES の用語集が「縦軸:香りの強弱」「横軸:味わいの濃淡」と明記している。

薫酒香り高 × 味 淡。「果実や花のようなフルーティーな香り」「比較的軽快」。大吟醸・吟醸。10〜15℃
熟酒香り高 × 味 濃。「熟成による独特の色味(黄色や褐色)と、深い香味」。古酒・長期熟成
爽酒香り低 × 味 淡。「最も軽快な香味」「淡麗」。普通酒・本醸造・生酒。5〜10℃
醇酒香り低 × 味 濃。「米の旨味やコク」「ふくよか」。純米・生酛・山廃。18〜20℃、ぬる燗
熟酒の落とし穴。熟酒の「香りが高い」は熟成香(カラメル・ナッツ・醤油様)であって、薫酒の「華やか」(吟醸香)とは別の香りである。集酒の香り軸を「穏やか⇔華やか」と名付けると、熟酒は「華やか」側に来ない。SSI の 4 語をそのまま 8 タイプの名前に使うなら、香り軸の名前を「香り 弱⇔強」にするか、熟酒だけ「熟成」チップで別に扱うかのどちらかが要る。SSI 公式・SAKETIMES のどちらにも「薫醇酒」のような中間・派生タイプの記述は無い。SAKETIMES は「4 タイプに分けきれないお酒もたくさん存在します」と注記するのみ。

3.2 酸は「甘辛」と「濃淡」の両方に入っている

国税庁醸造試験所の佐藤信ら「清酒の味覚に関する研究(第 3 報)甘辛と濃さに関する重回帰式」(日本醸造協会誌 69 巻 11 号、1974)は、官能の甘辛 Y と濃淡 Z を直糖 S と酸度 A の 2 成分で説明した。

甘辛  Y = 0.86 S − 1.16 A − 1.31     (酸が多いほど辛い)
濃淡  Z = 0.42 S + 1.88 A − 4.44     (酸が多いほど濃い)
現場用(日本酒度 N で置き換えた形。民間サイトで流通、係数の原文一致は未確認):
甘辛度 = 193593 / (1443 + N) − 1.16 A − 132.57
濃淡度 =  94545 / (1443 + N) + 1.88 A −  68.54

酒類総合研究所の官能評価用語体系(報告第 178 号)も「1512 辛口:甘味の感じが少ない,または酸やアルコール等による刺激が優って感じる」と定義し、「淡麗」「濃醇」は「味の調和感を含んでいる」と例外として明記している。月桂冠の Q&A は「日本酒度が同じ酒で比べると、酸度が高いと甘味が打ち消され辛くて濃く、逆に酸度が低いと甘くて淡麗に感じます」。

つまり、酸味を 4 本目の「独立した軸」として足すと、1 本目(甘辛)と 2 本目(濃淡)にすでに入っている成分をもう一度聞くことになる。4 軸 16 タイプの「16」は、独立な 2 値が 4 つあるときの数であって、相関した軸では実際に埋まるマスがもっと少ない。2004 年の「新甘辛度 AV = G − A」(グルコース − 酸度)も同じ構造で、業界は酸を甘辛の中に畳み込んできた。

3.3 香りには公的な数値指標が無い

酒類総合研究所の用語体系は香りを 8 クラス(吟醸香・果実様〜脂質様・酸臭)86 語で記述し、成分ごとの弁別閾値(酢酸イソアミル 270 µg/l、カプロン酸エチル 120 µg/l など)は持つが、「香り度」のような 1 本の合成指標は無い。香り軸は、どうやってもユーザーの感じ方を集めるしかない。これが「マスタの成分値だけでタイプを決める」案が成り立たない理由。

4. 案 A(3 軸 8 タイプ)のメリット・デメリット

メリットデメリット
SSI の 4 タイプ(唎酒師の教本・酒販店の POP で流通している語彙)を内包する。「薫酒の甘口」のように、知っている人には説明が要らない「熟酒」が香り軸に素直に乗らない(§3.1)。名前を SSI の 4 語に寄せるなら、熟成は別チップにして 8 タイプの香り軸は「吟醸香の強さ」と定義し直す必要がある
09-14 のレポートで推奨した入力(3 軸 5 段階+チップ)と同じ手数。投稿画面を変えなくてよい2 値に割るので「中口」「中間」が消える。平均が 0 付近の銘柄は、投稿が 1 件増えるたびにタイプが入れ替わる。しきい値の幅(±0.5 は「未分類」など)が要る
8 は覚えられる数。図鑑の称号「8 タイプ制覇」、共有カードの「あなたの図鑑は薫酒・甘口に偏っています」が作れる既存サービスに 8 タイプの例が無い=語彙を集酒が作って教える必要がある。4 象限の「淡麗辛口」は通じるが、3 語目を足した名前(例「華やか淡麗辛口」)は長い
タイプは平均から後で計算するので、ユーザーは「タイプを選ぶ」負担がない。データが増えれば分類が良くなる件数が少ない銘柄では 1 人の感想がタイプになる。最低件数(3 件など)を切るまで「未分類」と出す必要がある。151 銘柄 × 3 件= 453 件の投稿が集まるまで、図鑑の多くは未分類
「辛口」に酸と刺激が混ざる問題は、酸味・刺激のチップで後から分離して集計できる香り軸は温度で変わる(冷酒と燗で別の酒)。飲んだ温度を記録していない今の投稿では、同じ銘柄の香りの平均が温度の混合になる

5. 案 B(4 軸 16 タイプ)のメリット・デメリット

メリットデメリット
酸は醸造の側では独立した実測値(酸度)で、近年の日本酒(白麹・低アルコール・スパークリング・新政系)は酸で性格が決まる。ワイン(Vivino の Soft–Acidic 軸)に慣れた層には自然飲み手の側では酸は「辛い」「濃い」の知覚に入っている(§3.2)。独立軸として 5 段階で聞くと、初心者は甘辛軸と酸味軸に同じ感覚を 2 回入れる。相関した軸で 16 に割ると、実際に埋まるマスは 16 より少なく、しかも偏る
16 タイプ × 4 文字コードは「性格診断」の型として 2026 年に流行した(酒タイプ 16 診断、お酒 MBTI)。共有カードの「あなたは ○○○○ タイプ」は拡散する形流行しているのは飲み手の診断であって、銘柄の分類ではない。日本酒の味を 16 タイプに分ける既存サービスは見つからなかった。銘柄に 16 の名前を付けると、16 語を覚えてもらう必要があり、命名のコストが 8 の 2 倍以上(4 語目の組み合わせ)
酒好プロフィール(星で重み付けした本人の好み)を 4 軸に落とせば、銘柄ではなく人に 16 タイプが付く。これは投稿件数に関係なく、本人の記録が 5〜10 件あれば出せる銘柄を 16 に割ると、151 銘柄で 1 マス平均 9.4 本、偏りを考えると 0〜2 本のマスが出る。「タイプごとに埋める」遊びが成立しない。最低件数 3 件の縛りと合わせると、未分類が長く続く
酸味の軸があると、銘柄の「味のステータス」(09-14 で決めた全ユーザー平均)が 4 本になり、レーダーとして見栄えがする投稿 1 件の入力が 4 本になる。09-14 で見つけた「触らないと 0 が保存される」問題を直しても、4 本すべてに答える人は減る。記録の摩擦は図鑑の主軸(09-14 改修)と逆行する

6. 既存サービスはどう分けているか

調査エージェントが公式ページ・ヘルプ・アプリ説明文で確認した範囲(取得 2026-09-14 18:55〜19:06 JST)。「未確認」は本文が取れなかったもの。

サービス軸タイプ誰が決めるか集酒との違い
さけのわ フレーバーチャート華やか・穏やか・軽快・重厚・芳醇・ドライの 6 観点(対を 1 軸に潰さず 6 本で持つ)フレーバータグ感想コメントを運営が自動解析。「各特徴の強さは銘柄ごとに調整していますので他の銘柄と比較することはできません」軸を選ばせない。銘柄間で比べられない設計
さけのわ 10 タイプ診断(2026-06-27〜)コメントの独自解析10(芳醇コク型・淡麗辛口型・華やかフルーティ型 など)自動飲み手の好みのタイプ。銘柄ではない
SAKETIMEボディ・甘辛の 2 項目無しユーザー投票の差分(「普通、辛い+1」)2 軸で止めている
沢の鶴・宝酒造(図の出典は日本酒造組合中央会)・地酒蔵元会日本酒度 × 酸度4 象限(淡麗甘口・淡麗辛口・濃醇甘口・濃醇辛口)運営(成分値)業界共通の 4 分類。境界は「斜線」(地酒蔵元会)
Sakenomy公開説明文に軸の記載なし—ユーザーが感想・温度・写真をメモ—
KURAND味の軸ではなく「酒飲み性格診断」10 種以上(未確認)質問回答診断は性格
酒タイプ 16 診断(個人・2026-02 頃に流行)/お酒 MBTI 診断L/F・O/R・U/D・T/Y の 4 軸 2 値。飲み方・性格16(4 文字コード)質問回答「16 タイプ」の先例はここ。味ではない
Tippsy(現 Palate Project、米国)タグ: Smooth & Dry / Balanced / Sweet & Juicy / Fruity & Elegant / Umami / Classic など8 タグ運営軸ではなくタグ。8 という数だけは一致
J.S.A. SAKE DIPLOMA/WSET Sake甘味・酸味・うま味・苦味・ボディ・余韻を単極で段階評価タイプ分類しない(記述型)受験者(専門家)酸味は独立項目。ただし訓練された人向け
Vivino(ワイン)Light–Bold・Smooth–Tannic・Dry–Sweet・Soft–Acidic の 4 軸タイプにしない(連続軸のまま表示)レビュー文の語の頻度4 軸を持ちながら 16 タイプにはしていない

読み取れること(事実ではなく判断): 軸を 4 本持つ Vivino も、6 本持つさけのわも、銘柄を「N タイプ」に離散化していない。離散化しているのは、運営がタグを付ける Tippsy と、飲み手を診断するさけのわ・性格診断だけ。銘柄側は連続軸のまま見せ、タイプ名は飲み手の側に付ける、というのが先行例の共通の形。

7. 推奨する設計

7.1 銘柄: 3 軸の平均 → 8 タイプ(+酸味・熟成はタグ)

香り濃淡甘辛SSI の象限表示名(案。shika さん判断)典型
穏やか淡麗甘爽酒爽やか・甘口生酒・にごり(軽い)
辛爽やか・辛口本醸造・普通酒の淡麗辛口
濃醇甘醇酒ふくよか・甘口純米の旨口
辛ふくよか・辛口生酛・山廃の辛口
華やか淡麗甘薫酒華やか・甘口吟醸・大吟醸のフルーティ
辛華やか・辛口吟醸のキレ型
濃醇甘(熟酒 ※)豊か・甘口濃醇な純米大吟醸・貴醸酒
辛豊か・辛口濃い吟醸の辛口

※ 熟酒は「熟成」チップ(またはマスタの「古酒」区分)で別に立て、香り軸は「吟醸香の穏やか⇔華やか」と定義する。こうすると 8 タイプは SSI の 3 象限+「華やかで濃い」象限になり、熟酒の名前を誤用しない。

7.2 飲み手: 4 軸の 2 値 → 16 タイプ(診断・共有用)

7.3 マスタに成分値を持つか

日本酒度・酸度・アミノ酸度をマスタに足すと、1974 年の式で「甘辛度」「濃淡度」が出る。ユーザーの入力が 3 件集まる前の初期タイプ(2 軸分)に使え、入力が集まったら置き換える。ただし 151 銘柄すべての成分値を蔵の公式ページから拾う手作業が要り、酒はロットで値が変わる(生酒・ひやおろし)。香り軸は成分値からは出ない。やるなら「初期表示のため」と割り切って、アンケート後の裏取りと同時に集める。

8. shika さんに決めてほしいこと

#論点推奨別の選択肢
1酸味を軸にするかチップにするかチップ(感じた人の割合)。データが集まって甘辛との相関が低いと分かったら軸に昇格最初から 4 本目のスライダー。入力の手数と甘辛との二重計上を受け入れる
2銘柄のタイプ数8(3 軸)。中間は「未分類」で名前を出さない4(SSI そのまま)で始めて、甘辛を後から掛ける/16 で銘柄も割る
38 タイプの名前「爽やか・辛口」のように形容詞+甘辛の 2 語(§7.1 の案)SSI の 4 語を使う(熟酒の扱いを決める必要あり)/オリジナルの愛称 8 個
4熟酒の扱い「熟成」チップ+マスタの区分で別立て。香り軸は吟醸香の強さと定義香り軸を「弱⇔強」にして熟成香も含める(華やかと熟成が同じ側に来る)
516 タイプを飲み手の診断に使うか使う。共有カードのネタとして、酒好プロフィール(有料計画)の見せ方に見送る/銘柄にも 16 を使う
6マスタに日本酒度・酸度を足すかアンケート後の裏取りと同時に、取れる銘柄だけ足す(初期表示用)足さない。ユーザー入力だけで分類する

9. 未確認のこと

調査エージェントの全文(出典 45 件・原文引用つき)はセッションのスクラッチパッド sake-type-research.md(32,400 字)。関連: 酒好プロフィール自動算出の検討(味指標の調査と 3 軸+チップの推奨)/図鑑ゲーミフィケーション改修/さけのわ競合戦略